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Q1)原文で「before~」っていう表現がいっぱいあるけど翻訳版は「~の前に」って表現少ないよね?

A:はい。これがよく英文を噛み砕くときに立ちはだかる壁だと思います。これは日本語と英語の文法と表現方法の違いから来るものなのですが、まず日本語は何かを説明する時、先に詳細を語ってから最後に本題を述べます。けれど英語の場合には先に本題を述べてから詳細を語ります。例を挙げてみましょう。

○弟が犬と追いかけっこしたので、ケチャップがこぼれた。

これが日本語の場合です。それが…

○ケチャップがこぼれた。弟と犬が追いかけっこしたので。

となっているのが英文の常です。なので英文では本題を最初に述べた後にどんどん後から付け足しの文が入るのです。上記は簡単なものですが、今回の翻訳で多用したのは…

○ケチャップがこぼれた。弟と犬が追いかけっこをして、僕にぶつかる前に靴下を踏んづけたからだ。

というような順序になっている少々長い英文の場合、自然になるよう日本語に直すときには…

○弟と犬が追いかけっこをして靴下を踏み、僕にぶつかったせいでケチャップがこぼれた。

という風に並び替えを行いました。情景を想像していただくと分かるかと思いますが、文の並びは違えど起こった出来事は全く同じです。日本語でもときどき「意識を失う前に見えたのは、君の泣き顔だった」というような「~の前に」という使い方をしますけれども、その場面を強調したい場合はさておき作中でそう何度も出てくるようであれば読みにくい事この上ありませんしイメージもしにくいです。

そのため日本語として翻訳をする時には、いかに正しくシチュエーションを理解して、時系列順に並び替えるのかが重要になります。私が「~の前に」という表現を多用していないのはそのためです。

Q2)「The Empty City」のFriskの最後のセリフ、原文と違いますよね?

A:これはキャラクター項目のQ1と少々通じるところがありますが、このloveは直接的に愛という名詞としての意味で使われているわけではありません。これもまた呼びかけです。なので愛という言葉を日本語として直接的に使いたくありませんでした。あえて当てはめるのならば「愛しい人」や「愛する君」などが近いかなとは思うのですが、Friskがそんな固い言い方をするとは思えません。またloveをそのまま載せるという事も考えたのですが、それだとこれを呼びかけのタイプだと知らない方が意味を取り違える可能性が出てくると思い、名前に置き換えさせていただきました。けれど日本語は感情の機微を表現するのに前後の文を取り入れているところがあると思うので、直前の描写から、Friskがどういう思いでSansを呼んだか想像できるのではないでしょうか。この点についてはほんとうに力及ばず申し訳ないのですが、ぜひ原文でその良さを噛み締めていただけたらと思います。

Q3)なんだかきれいな文章ですよね、ネット翻訳とは違って読みやすい気がするんですがどうやってるんですか?

A:ありがとうございます。発想と転換の話になってしまうのですが、まず英語は日本語よりも状況描写をする際の単語の候補が少ないです。例えば「he lowered his head」という元の文。直訳すると「彼は頭を下ろした」になります。状況としては頭の位置を下にする、という行為ですよね?これを小説としてスムーズに読めるように単語を当てはめるのであれば考えられるものは「頭を下げる」「うつむく」「頭を垂れる」などがまず候補として上がってくるかと思います。その上で、対象となっている文の前後を先に読んで状況を確認します。

例えば彼が頭を下にした理由。仮に前の文ではPapyrusがSansに罵詈雑言を浴びせているとします。この場合だとしゅんとしている様子が想像できるので「うつむく」を私なら使います。がっかりするような様子なら「頭を垂れる」でもいいかもしれません。残りの「頭を下げる」と言う描写ですが、日本人の場合、こう言われると「会釈をする」や「謝る」、「腰を折る」といった行為が想像されませんか?なのでこの場合、よっぽど状況的に会釈が似合うシチュエーションでもない限り、私はほとんど頭を下げるという描写は使いません。なぜなら海外は日本のように会釈を行う文化が無いからです。

このように、一文からその場面に見合う表現を一つ一つ探していきます。こればかりはほぼ思いつきのような形になってしまうので、まず頭の中でキャラクターがその行為をしている場面を想像し、自分がそれを客観的に説明するのならば何という言葉を使うのか、と考えるとスムーズかもしれません。

ただ一点気をつけていただきたいのが、個人的に英訳という形を取るのならば細密描写をするのもいいかもしれないですが、もし翻訳という形を取る場合、原文の描写以上の事を付け足さないようにしなくてはいけません。それはもはや翻訳ではなく加筆になってしまいます。下手をすれば原文創作者様からご指摘いただくことにもなりかねませんのでご注意ください。

Q4)原文で「it」になっているはずの部分が翻訳版では無くなってませんか?

A:一部はそうなっているかと思います。「it」の種類が二通りありますのでそれぞれ説明させていただきます。まず一つ目。「it」が主語になっているタイプで、そのあとに続く文が状況描写になっており、明確に指す語が無いものの場合。

例えば…

○He gave up to look for Frisk because it is hard to see the bottom of the water. There is only darkness laying down.

という場合。「it」を使ってはいるけれど、これは明確に指している語句があるわけではないです。なのでこれを読みやすく訳すと…

○水底はよく見えず、彼はFriskを探す事を諦めた。そこにはただ暗闇が広がっているだけだ。

となります。そのためこの場合の「it」は具体的に別の何かがあるというのではなく、「水底がよく見えないこと」を指しているのです。なので必ずしも「それ」という訳を使うわけではありません。

次に二つ目。これは質問内容とはズレますが、「こそあど言葉」いわゆる「これ、それ、あれ、どれ」にあたる「this, it, that」などを使った文で、訳にしたときに明らかに文が増えている箇所がいくつかあるかと思います。まず先に弁明させていただきたいのですが、これは加筆ではありません。どういうことかというと、それらの語句を使う場合、多くが、事前にその事柄を説明済みのことが多いのです。

 

例えば③の文章を今読んでいるものとしましょう。そこに出てくる「this, it, that」などには対応する事柄が③の文章の中にはありません。なので③のみだと日本語に直訳した場合内容が読み取れないのです。そのため前の文章から③の「this, it, that」に値する内容を探し出してくる必要があります。それは前の段落かもしれないし、話の内容によってはページをまたぐ事もあります。そして①で発見したとすると、訳の方では③の「this, it, that」の部分に①を入れます。これでやっと日本語として読める文章になります。

わかりにくいかもしれませんが、要約すると、対応する語句を以前の話の中から探し出してきて「this, it, that 」の部分に置き換えています。

Q5)Overgrowthの最後の一文の「flower you?」は「How are you?」とかけてると思うのですが…

A:ご指摘ありがとうございます。それは言われて気付きました。たしかにその通りだと思うのですが現状そちらに相対する良い日本語が思い浮かばないので訳ではそのままにしておきます。大変申し訳ないのですが皆様も原文ページを見れるとは思うのでここは原文の雰囲気を味わっていただけたらと思います。申し訳ありません。

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